日本昔話にはよく鬼が出てきます。昔話に出てくる鬼は、ほとんどが民に悪さをする悪者となっていますが、2月3日の節分の豆まきの時に必ず言う「福は内、鬼は外」の鬼とは、どんな意味があるのでしょうか。

子供のころからの習慣として何気に口にしている言葉ですが、しっかりといわれを説明しようとすると、わからなかったりもしますよね。

ここでは、節分の鬼について、または、鬼にまつわる豆知識についてお伝えします。

日本の鬼って何?

日本でいう鬼とは、郷土信仰や民話などによく出てきます。これは、妖怪のひとつと考えられています。

一般的に伝わっている鬼の姿は、髪の毛はちりちりで、頭に角が2本かまたは1本あり、口に牙が生えていて、からだは赤や青だったりします。衣類は虎の皮のふんどしだけで、金棒を手に持っているという風貌が多いです。

仏教でいう地獄のエンマ大王のイメージもあります。

基本的に、鬼は、怖いものという位置づけが多いですが、さまざまな文献によると、単に悪を示すものだけではなく、善い行いをする鬼や神格化された鬼もいるそうです。

節分とは

節分とは季節の節目に当たる日の前の日のことを示します。

季節の節目とは、立春、立夏、立秋、立冬といい、それぞれの前日を節分と言います。旧暦では一年の始まりの立春がもっとも重要な日とされて、立春の前日の節分の行事が、節分として現在に至るまで続いています。

2月の節分に豆まきをするわけは? 

旧暦の大晦日にあたる日が、2月の節分の日となります。なので、現在でも、地方によっては、節分のことを年越しという習わしのところもあるようです。

旧暦の立春の前日(節分)である2月3日に、1年の始めに邪気を追い払うために、古くは室町時代から、豆まきが行われてきました。

邪気を鬼と定めて、鬼に豆をぶつけて邪気を追い払い、一年の無病息災を願ったといわれています。

尚、2月3日が多いですが、立春の日は、24節気の日が年によっては、1日前後することもあり、2月2日または2月4日が節分とされる日もあります。

2月の節分にまくのはなぜ豆なのか?

豆は栄養が豊富で、古くから、生命力と魔除けのパワーがあるといわれてきたことで豆が選ばれたということ、または「まめ」という言葉には、地方によっては「元気である」という意味もあります。

他に、「魔目(豆・まめ)」と書き、鬼の目に豆をあてて鬼を退治する「魔滅」という言葉に通じているからという説もあります。

本来の豆まきのやり方とは

大豆を炒って神棚へお供えをしたあとに、夜に、年男が「鬼は外、福は内」と大きな声で唱えながら、豆をまきます。窓を開けて、「鬼は外」と唱えながら、家の中から外へ向けて豆をまき、「福は内」と唱えながら、家の外から中へ向ける感じで豆をまきます。

 今では、家で豆まきをするときは、落花生を用いるところがほとんどかもしれません。豆まきをする人は、世帯主となるでしょうか。

正式な豆まきのやり方をとらなくても、邪気を追い払うという意味では、節分の行事を大切にしたいですね。

節分の豆はいくつ食べるのが本当?

まかれた豆を、数え年の分だけ食べると、無病息災を得られるといわれているところが多いです。

節分祭(せつぶんさい)・節分会(せつぶんえ)

旧暦の1年の始めの節分に邪気を追い払う行事として、主に神社では節分祭として、豆まきなどの行事が行われます。

神社だけではなく、寺院でも同様にあり、こちらは、節分会と言われています。

節分で食べる行事食

恵方巻

最近では恵方巻が当たり前の行事食となっています。

もともとは大阪地方の行事食だったようですが、全国に広まったということです。

節分の日には、コンビニなどでも相当数売り出されていますね。

その年の恵方の方角を向いて、ふと巻きずしの恵方巻を食べるということです。

恵方巻を食べるときの注意点とは

切らずに食べる→縁を切らない という意味から

恵方の方角を向いて食べる→その年の恵方は縁起の良い方角とされているから

黙って願い事を思い浮かべながら食べる→食べ終わるまでに言葉を発してしまうと運が逃げていくから

とも言われています。

恵方とは

陰陽道からくるといわれているその年の歳徳神(としとくじん) がいる方角のことを言います。恵方は毎年異なり、その年の干支により違ってきます。

恵方の方角を知るには、こちらを参照してください。

鰯料理

節分には、鬼が苦手とする鰯の臭いと柊のトゲを使って、柊に焼いた鰯の頭を刺した「焼嗅(やいかがし)」を作り、鬼を追い払うためのおまじないとして、玄関先に飾る風習がありました。

これにちなんで、節分には、いわし料理を食べるという地域もあります。

節分そば

節分は旧暦の大晦日にあたるので、年越しそば同様にそばを食べる地域もあります。

福茶

主に関西地方の慣習として、大晦日、お正月や節分に飲まれます。

節分には、大豆、昆布、梅干しの具に煎茶をそそぎます。豆は3粒いれます。

鬼にまつわる豆知識

鬼に会える場所 日本の鬼の交流博物館

京都府の福知山市に「日本の鬼の交流博物館」があります。

福知山市大江山の鬼伝説の紹介をはじめ、全国各地に伝わる鬼にまつわる伝統芸能の紹介や、世界の鬼の面などが展示されています。

詳細はこちら

住所:京都府福知山市大江町仏性寺909

鬼に会える場所 なまはげ館

秋田県男鹿市に伝わる民俗行事「なまはげ」の鬼の面150枚以上の面を展示していて、迫力があります。

「男鹿のなまはげ」はユネスコ無形文化遺産に登録されています。

なまはげは真山・本山に鎮座する神々の使者として、年に一度各家々を訪れて、厄災を祓い、豊作・豊漁・吉事をもたらす来訪神といわれています。

詳細はこちら

住所:男鹿市北浦真山字水喰沢

鬼を祀る神社 鬼神社(青森県弘前市)

農業の守護神として、鬼がご神体としてまつられています。

鬼を祀る神社 鬼鎮神社(埼玉県比企郡嵐山町)

勝負ごとに勝つ後利益があるといわれている神社です。鬼に金棒ということで、金棒が奉納されています。

鬼を祀る神社 玉屋神社 鬼神社(福岡県田川郡添田町)

般若岩に面して英彦山鬼神社があります。

鬼を祀る神社 鬼神社(大分県大分市)

鬼を神としてまつっています。

鬼という言葉の使われ方

鬼は、大きな妖怪というイメージで日本では言い伝えられてきたということから、鬼を言葉の頭につけて、より大きいという意味を示す言葉があります。

例 オニヤンマ、オニヤドカリ

また、鬼の容貌から、とげとげなどの角があるものに対しても、鬼をつける傾向があるそうです。

例 オニヒトデ、オニナマコ

まとめ

節分で唱える「鬼は外」から、鬼について調べてみました。

邪気とは逆に、来訪神として喜ばれた鬼もいたのですね。地域に伝わる鬼伝説を調べてみるのも楽しいかもしれませんね。