平成から令和へ、新しい区切りを迎える5月が近づいてきました。長い連休を迎える方も多くおられるのではないかと思います。

ゆっくりした連休を使って、デジタル整理をしてみてはいかがでしょうか。日頃の活動に追われて後回しにしていた自分の足元を整理し、じっくりと見つめ直すのにぴったり。そろそろ終活を始めたいと考えている方の生前整理入門編としてもおすすめです。

放っているとトラブルに!デジタル整理が必要な2つの理由と対処法

今や50代でもスマホ利用率が8割を超える時代。ビジネスだけでなく、家庭の中でもいろいろなアプリを使って効率化する「デジタルネイティブ人間」が増えています。

一方で、いろいろなデバイスに溜まり、増え続けるデジタル情報について、考えたことはあるでしょうか。突然の事故や入院など不測の事態になって自分が操作できなくなったとき、デジタル情報はどうなるのでしょう。

デジタル情報をめぐるトラブルは、大きく分けて次の取扱いに問題が生じて発生します。

  • データが取り出せなくて発生するトラブル:写真や連絡先、ログイン情報などにアクセスできず引き継げない、オンライン取引の存在に気づかずにいて乗っ取られる、損失を出して関係者に金銭で迷惑をかけるなど。
  • データが残って発生するトラブル:見られたくないものや見られて困るもの個人の収集物が表に出てしまう、情報が不適切に他人に渡ってしまうなど。

データが取り出せないトラブルには、誰かに処理を託せるようにデジタル整理

必要なデータが取り出せないトラブルへの対処として行うデジタル整理は、引き継ぎのためのアクセス方法を残し、誰かに託しておくのがポイントです。

アクセス先のURLやログイン方法をリストアップして、自分に万一のことがあったら引き継ぐよう、信用がおける人へ託す方法を考えましょう。

家族や仲間と共有している写真やネット取引の情報など、自分ができない場合に誰かに代わって管理してほしい情報を整理し、いざとなったら処理してもらうようにします。

データが残るトラブルには、見られたくないものを処分しやすくデジタル整理

「墓場まで持っていきたい」と感じている個人的データなどは、徹底的に隔離し、気づかれず処分する方法を設定するのがポイントです。

簡単な方法は、データの隔離です。スマホのデータは定期的にバックアップし、見られたら困るデータは抜いておく。バックアップ先に専用のアカウントを追加して秘密にしたいデータを集中させ、ロックする。誰にも引き出せないようにした上でハードディスクを物理的に処分するよう手順を残すなどの工夫をします。

それでもロック解除されるかもしれないと気になる場合は、一定期間アクセスしなかったら自動的にデータ削除を促すソフトなどもあります。(これについては後述します)こうした便利ツールを使って、万一の場合には自動消滅を図る方法もあります。

デジタル整理ことはじめ 3つのポイント

デジタル整理をカテゴリで大別すると、PCやスマホなど、機器の操作に関するもの、写真や動画、メールなどの電子データに関するもの、SNSやクラウド、ネット取引などのオンラインサービスに関するものがあります。

PC、スマホ、タブレットなど機器に関するデジタル整理

PCやスマホ、タブレット、ICレコーダーなど、ハード機器に関するデジタル整理は、操作面を中心に、アクセスの範囲を明確にしておくのがポイントです。

  • 起動時のログインに必要な情報:管理者権限のあるID、登録メールアドレス、パスワード、秘密のキーなどをリストにする。
  • 引き継ぎ処理が必要なデータを格納しているアカウントの情報:ID、登録メールアドレス、パスワードなどをリストにする。
  • アクセスされず削除したいアカウントやフォルダの設定:探しにくい名前にし、階層を深くした上でロックをかけてデータを隔離する。可能であれば自動消滅のソフトを設定する。
  • SDカードやUSB、デジカメ、ビデオ、ボイスレコーダーなどの周辺機器:原則としてデータは記録した都度PCなどへ移して空にしておく。操作のロックはかけない。

写真や動画、メールなどデータに関するデジタル整理

データに関するデジタル整理は、カテゴリ別に処分方法を決めるのがポイント。大きく「家族向け」「友人向け」「仕事向け」などのカテゴリに分けておき、それぞれのデータについて、ハードディスクで一定年数保管、友人の○○に送付、仕事仲間の○○に送付などの処理の仕方を整理しておきましょう。

  • 写真、動画、個人の制作物などのデータ:見られても大丈夫なデータは、わかりやすい名前のフォルダに入れてアクセスしやすい状態にする。見られたくないデータは、探しにくい名前にし、階層を深くしてロックをかける。
  • 仕事上のデータ:情報漏えいの問題にも関わるので、個人PCには残さないのが原則。フリーなどの仕事PCは、誰にでも代わりに仕事が引き継げるよう、業務に応じたカテゴリで仕分けてフォルダやファイルを整理した上でロックをかけ、アクセス方法をリストにしておく。
  • メール:メールアカウントごとに、管理者画面へのアクセス方法、ID、パスワード、サービス内容、脱会方法を整理する。特にオンライン取引に使用しているアカウントで放置してはいけないものがある場合、慎重に対応する必要があることを明記しておく。
  • アドレスや連絡先:家族や親族、友人、仕事などのカテゴリに分けて整理し、ファイルを集めておく。

SNSやクラウドなどオンラインサービスに関するデジタル整理

オンラインサービスやSNSなど、放置しておくと荒らされたり、悪意ある乗っ取りに遭ったりする可能性があるものは、自分の手が入らなくなったときに継続管理や収束・削除を依頼するよう、サービス運営者への手続きをあらかじめ整理しておくことがポイントです。

  • インターネット取引サービス(ネット通販、ネットバンク、サブスクリプションサービス、ネットマネーなど):サービスごとに、登録メールアカウント、ID、パスワード、取引内容、本人が運用できなくなった場合の手続き方法を整理しておく。
  • SNSサービス(FacebookやTwitter、Instagramなど):サービスごとに登録メールアカウント、ID、パスワード、本人以外の者が退会手続きを取る場合の方法を整理しておく。
  • Webサイトやブログ:サービスごとに、登録メールアカウント、ID、パスワード、サービス内容、本人が運用できなくなった場合に管理者を代えて継続するのか、サイトを閉じるのかを明確にして、手続き方法を整理しておく。

専用サービスで万一に備える デジタル整理サービスや便利ツールの活用法

スマホが盗まれた場合のデータ消去アプリのように、遠隔からの操作によりデータ消去できるサービスも少しずつ出回ってきています。

残念ながらこれらのサービスはまだ日が浅いこともあり、継続的に確実な運用ができるかどうかはわかりませんが、技術的な進歩も進んでいますので、時々はサービス内容を調べて利用するかどうかを検討しておくと良いでしょう。

SNSやブログ運営上のデジタル整理サービス

Facebook「追悼アカウントのリクエスト」

本人が亡くなって運営できない場合に、家族や友人がリクエストすると特別な追悼アカウントに移行し、誰からも管理されなくするサービスです。本人がアカウント削除を希望していた場合は削除されます。

  *Facebook追悼アカウントのリクエスト

Twitterの「亡くなられた利用者のアカウントについてのご連絡方法」

本人が亡くなった場合や自身での対応が難しくなった時に、アカウント削除できるようにするサービスです。書面手続きが必要ですが、確実に削除してくれます。

  *Twitterの「亡くなられた利用者のアカウントについてのご連絡方法」

ブログに貼り付ける「ウィログ」

ブログ運営中の万一に備え、お別れメッセージを預かってくれるサービスです。ブログへの書き込みが一定期間停止したときに、確認メールの応答などをもとに確認し、メッセージを公開してくれます。

  *ブログに貼り付ける「ウィログ」

PCデータ消去などのデジタル整理ツール

デジタル生前整理アプリ「編みノート」

あらかじめ削除したいデータや残しておきたいデータを設定できるデジタルエンディングノート。指定した期間PCが立ち上がらなかったときにエンディングノートを展開。削除したいデータを自動消去してくれます。

  デジタル生前整理アプリ「編みノート」

まとめ

ふだん便利に使っているデジタルですが、突然壊れたり事故や病気などで操作できなくなったりすることは十分考えられます。いざというときに慌てないよう、連休などの余裕があるうちに、デジタル整理してみてはいかがでしょう。