働き方改革で残業が減ったのはいいけれど、その分家計は直撃。景気の評価も「悪化」に変わったし、消費税が上がるしと、あまりお財布に優しい話がきかれないこのごろ。
節約が大事なのはわかっていても続けるのは難しいですよね。ダイエットと一緒で、若い頃から何度も挑戦しては失敗し・・・50代にもなると、もうこんな性格だからとお手上げムードかもしれません。
でも、まだあきらめないで! 節約は、自分の生活の癖を棚卸しし、お金をどこに使いたいかの価値観をきちんと見定めていくことで、十分マネジメントできるのです。ここでは、家計マネジメントのコツをご紹介します。
このページにはこんなことが書いてあります
節約は家計のダイエット。費用対効果のバランスが重要
節約というとお金を削るというイメージが大きいかもしれませんが、ポイントとなるのは必要なところに必要な資源を投入するという感覚です。経済の言葉を借りれば、コスト(自分の金遣い)とベネフィット(自分の価値観)のバランスともいえます。
やたらと削ったり止めたりしても、あまりお金がたまらず、むしろ他の部分にしわ寄せがきてしまい、かえってお金がかかる羽目になった、なんて話もよく聞きます。
無理なく節約するには、家計の全体像を把握して、自分の価値観と照らし合わせて圧縮できるところを探し、より効果の高いところへ振り分けることです。
家計運用の全体を見渡してみると、自分のスタイルをよくあらわしているのが、耐久ものや毎月の固定払いへのお金の投入傾向です。これらは、毎月一定のお金を支出するため、生活への影響も大きくなります。
代表的なものでは、家(家賃や持ち家のローン)、車、電気・通信などのインフラへの支払い、大型家電などです。これらは毎月積み重なるものですから、節約したときの効果も現れやすいという特徴があります。
耐久ものの節約は、初期投資とランニングコストの合計で考える
耐久ものへお金をかける場合、初期投資としてある程度まとまったお金をかけ、その後毎月の維持費をかけていくものが多いです。例えば大型家電だと、消費電力が小さく電気代がかからないといわれているものは家電そのものの値段が高かったりしますよね。
このように、耐久もので節約を考える場合は、初期投資額と数年間のランニングコストを合計したときにどちらが得かを検討する必要があります。
消費電力の大きいやすい家電を買ってこまめに消して回るというのも手かもしれませんが、いちいち面倒になってくるし、かえって家電の立ち上げ電力を消費し家電の寿命が短くなる場合も考えられます。少々高額でも維持費のかからないものを長く使うほうが、長期的な節約になっていることも考えられるのです。
家族が減れば家電も小さく。生活規模にあわせた設備にして無駄をなくす
耐久ものを揃えるときに気をつけたいのが、「あったらいいかも」という感覚です。例えば、家族が独立したりして日常の生活人数は減っているのに、ときどき集まるんだしと、大家族用の車や大容量の家電にしてしまうような場合です。
たしかに便利でしょうが、日常の暮らしに大きすぎるものを使うとついムダなものを入れてしまいがちですし、少し寂しさも出てしまいかねません。体にフィットした服が着心地よいのと同じで、世帯数にあった大きさにしたほうがよいのです。
大人数になる日は特別会計と考えて、日々の生活規模に合わせたコストを考えるのが固定費には重要です。
日常的には、どれだけの物を常に使っているのか、洗い出してみましょう。年に1~2回集まる程度のためであれば、必ず必要かどうかをしっかり確認しましょう。
毎月の支払い、今も必要?固定支出を見直せば年間大きな節約に
ほかにも毎月の固定支出になっているものがあります。電気や通信などのライフライン利用料やネットサービスの会費などです。こうした毎月支払うものは、積もり積もるとけっこう大きい差が出てきます。
スマートフォンを購入したり、機種変更した時に、最初に設定されているサービスがずっと必要かどうかもチェックしてみましょう。外していいものがけっこうあるかもしれません。
ライフライン関係であれば、会社を一括することでまとめ割引を使うという方法もあるでしょう。また、サービスによれば年払いにすると割引されるものもあります。案外、生活が変わって今はもう使っていないのになんとなく払い続けている会費などもありませんか。
引き落としになっているとふだんの意識に上らないのでそのままになりがちです。年に一度は見直しをしていくことをおすすめします。
消費ものの節約は、毎日の習慣をちょっとだけ変えて実行しよう
毎日の生活でその都度消費するものの節約は、現金払いにしろカード払いにしろ、目の前で支払うため、つい無理な節約に走りがちです。
家計のダイエットも体と同じ。リバウンドで余計にコストがかかる羽目にならない節約方法にしていきましょう。劇的な効果を狙おうとせず、地味な継続こそが重要だと考えましょう。コツは、なんとなくやっていることを少しだけ見直すこと。毎月ふりかえって達成感を味わえると続けやすくなります。
特に 、次のような行動はマイナスポイントになるので注意しましょう。
いくら節約できそうでも、体に悪いことはしない
日々の生活に直結するのが食費。つい、簡単に安く手に入るものでおなかをごまかしてしまいがちです。でもそんな節約は続けていると体を壊してしまい、かえって出費が高くつきかねません。
日常生活の一番の資本は自分や家族の体と心です。生命の維持に必要なものへの投資はしっかりと行いましょう。
例えば、栄養のバランスを週の単位くらいで考えてメニューをざっくり決めておき、食材をまとめて購入し、調味料をシンプルな種類してしっかり使い切るというようなイメージです。
目先の安さに目を奪われている節約は、あなたの時間も奪われている
毎日買い物に出ていると、特売品に出会います。安いから、得だからと思ってお店をはしごして買い回るのは、節約しているという達成感は大きいかもしれませんが、相対的に不必要なものや必要以上の量を買ってしまっていることが多くなります。
節約で頭がいっぱいになっているとき、あなたの体力も時間もコストをかけてしまっていることを、忘れないようにしましょう。
買い物かごに入れる前に、すでに家にあるものを思い浮かべ、増やすことに意味があるか、どう組み合わせてどんな活用ができるのかを考えてから購入を決めるとよいでしょう。
節約が苦行にならないよう、楽しみを削らない
どんなによいことだとわかっていても、苦痛を伴うとすぐにやめたくなるものです。何もかもやめて苦行になると、反動がくるかもしれません。
特に娯楽に関することは、不謹慎だとか無駄だとか思いがちですが、実は楽しいことこそ残して続けやすくするべきです。要はバランスです。
毎月がんばった自分にご褒美をあげるように、これだけは!という楽しみをつくっておき、達成感をアップさせると続けることが嬉しくなります。
周囲の人や社会の信用をなくすような節約はしない
節約は生活の縮小ではありません。最低限の現状維持を狙いすぎると、将来が先細りとなってしまい、いざというときに必要以上のエネルギーがかかってしまいます。
例えば周囲との交際関係や、自分の技量を磨く講座のようなものです。大きい金額になりやすく出費をためらいがちですが、いつも断っていると、未来の社会的信用を失うかもしれません。
将来につながる関係性があるものへはしっかりと投資しましょう。
節約術は、究極の家計マネジメント。自分の強み・弱みを見える化しよう
節約の本来の姿は、余計な無駄を取り除き、必要なところにつぎ込む「選択と集中」の家計マネジメントです。ケチケチした節約というより、むしろ積極的に家計の運用術を極めていくのだという気合いで臨みましょう。
ここでは、 ポジティブに家計マネジメントするためのヒントとなるポイントを挙げておきます。
現状もっているものを「見える化」する
マネジメントの基本は、いまある資源をどう活用するかを考えることです。
日常生活の全体を見渡し、どの場所に何がどれだけあるか、どのくらいの頻度で使い、なくなっていくのかを整理してみましょう。ひと目で把握できるようにしたり、定期的に最新情報に更新できるようなリストにするのもおすすめです。
目に見えない出費も「見える化」する
目に見えるモノだけでなく、毎月の引き落としなどの支出も定期的に確認するよう、リスト化するとよいでしょう。見える形にすることで、毎月の運用をはっきり意識できます。
手書きでつけていくと計算がたいへんですが、エクセル(マイクロソフト)やスプレッドシート(グーグル)を使って簡単な表を作り、ちょこちょこと入力していくだけでも、気軽に時系列で確認したり、トータル金額を計算したりできるので、思っている以上に効果があります。
最近は無料のアプリでも使い勝手のよいものが出ているので、楽な方法をみつけてみてください。
生き方や価値観と照らし合わせ、必要なものを把握する
支出の全体像が見えてきたら、自分のライフスタイルや価値観、生活の優先度と照らし合わせ、維持するために必要なものと今後の投資として必要なものを洗い出しましょう。
何を削るかというより、何を残すかを考えていくイメージです。どうしても譲れないコアな部分を考えておくとよいでしょう。
いま直近のことだけでなく、数年先までの長期的な視野も大切です。
選択と集中の基本方針を出す
洗い出された現状と、自分として譲れないポイントが明らかになったら、何にどこまでつぎ込むべきかという基本方針を出します。マネジメントでいう「選択と集中」です。年に一度くらいは行うとよいでしょう。
重要なのは、はじめに大きな方針を出しておき、具体的に何を削ってどこに集中させるかは、必ず基本方針を確認しながら決めていくことです。そうすることで、行動が一貫し、ぶれない生活ができます。
まとめ
50代からでも遅くありません。これまでなんとなくやってきた家計のきりもりを、財務マネジメントまで昇格させていきましょう。
嘆いているばかりで思考停止するのはもったいない。景気だろうが消費税だろうが、どんな危機でもポジティブな「選択と集中」で乗り切っていけるのです。