10月恒例のイベント行事としてすっかりおなじみになったハロウィン。ここ数年は、バレンタインより経済効果があるといわれるほどの盛り上がりで、夜通し若者が騒ぐお祭りのようなイメージになっています。
でも実は、ハロウィンの発祥は単なる秋のお祭りではないんです。
50代のハロウィンは、本来の行事の意味も味わいながら、ちょっと大人の楽しみ方をしてみることをおすすめします。
このページにはこんなことが書いてあります
ハロウィンはケルト族の大晦日とキリスト教のお盆が融合した行事
ハロウィンの起源はヨーロッパにあります。
ケルト民族の大晦日の行事と、キリスト教のお盆にあたる時期が重なっているため、融合して「ハロウィン」ができあがったといわれています。
ハロウィンの10月31日はケルト族の大晦日
ケルト族では、10月末を夏の終わり(サマン)と考え、新年の区切りとしていました。つまり、10月31日はケルト族の大晦日にあたります。
このとき、太陽の神が闇(サマン)に捉えられ、大晦日の夜は死者の霊と一緒に悪霊や魔女が出て作物や子どもたちに悪さをするとされていました。
このため、悪霊を追い払う風習として、奇妙な顔を彫ったカブを置いて焚き火をしたり、仮面をかぶったり、収穫の一部を捧げたりする習慣ができたのです。
この風習が後にアメリカに渡って、カブの代わりにかぼちゃにろうそくをたて、捧げ物の代わりに子どもたちへお菓子をあげるようになりました。仮面や仮装して騒ぐ習慣は残ったとされています。
ハロウィンの語源はキリスト教のお盆「万聖節」からきている
ハロウィンの語源は、キリスト教の行事からきています。
11月1日が「万聖節」または「諸聖人の日」といわれる祭日で、すべての聖人や殉教者を記念する日、翌11月2日が「死者の日」として、すべての故人を偲ぶ日とされています。
このため、この期間にお墓参りをする習慣もあります。日本でいうお盆のような感覚ですね。
10月31日はこの祭日の前日ですから、「すべての聖人(Hallows)の前夜祭(Eve)」が混ざり、ハロウィン(Halloween)となったといわれています。
そして、ちょうどこの夜に行われていたケルト族の行事が組みあわさり、徐々に宗教的な意味あいが薄れて、現在のような形の行事になっていきました。
ハロウィンに欠かせない小物たち
ハロウィンの行事にはケルト族の風習が色濃く残っているため、代表的なアイテムとされているのは、かぼちゃ、仮装、子どもたちにあげるお菓子でしょう。もうひとつ、欧米でのハロウィンパーティではりんごもよく登場します。
かぼちゃ(ジャック・オ・ランタン)
かぼちゃをくり抜いてランタンをつくる「ジャック・オ・ランタン」は、アイルランドの伝説がもとになっています。
ジャックは、けちんぼで人をだましてばかりいたのですが、とうとう悪魔もだまして取引してしまい、天国にも地獄にも行くことができなくなってしまいました。そのときに手に持っていたカブをランタンにして持ち、この世とあの世をさまよい歩くようになったとされています。
この伝説がアメリカにわたって、カブがかぼちゃに代わり、現在の形になりました。
死者や悪霊、魔物の仮装
10月31日、死者が帰ってくる大晦日の夜。悪霊や魔物たちもたくさん押し寄せます。このため、現世に生きる人間たちも、同じように悪霊や骸骨の仮装をして、霊が乗り移らないようにと考えたことが、仮装の由来だとされています。
最近では関係のないものも増えてきましたが、ハロウィンの仮装におどろおどろしいものや不気味なものが多いのは、自分たちが魔物の仲間だとアピールするためなのです。
お菓子(トリック・オア・トリート)
ハロウィンのときに子どもたちが「トリック・オア・トリート(お菓子をくれなきゃいたずらするぞ)」と言いながら家々を回るハロウィンパレードもよく知られています。
これは、村にやってくる悪霊たちへの捧げ物として、収穫物を家々から集め、村の入り口に置く風習が由来とされています。
後に、家々を回るのが子どもたちになり、集めるものもお菓子になっていきました。
欧米では今でも、子どもたちが来ることを見込んで用意していますが、最近ではアレルギーなどもあるため、お菓子以外の小物を用意しているところもあるようです。
りんご(ダックアップル)
欧米のハロウィンパーティでよく登場するのがりんごです。ちょうど収穫時期でもあるため、使いやすかったと考えられています。
アップルパイなどで食卓にのぼるだけでなく、りんごを使ったパーティゲームもあります。
水を張った大きめのたらいにりんごを浮かべ、口だけを使って取る遊びで、「ダック・アップル」あるいは「アップルボビング」と呼ばれています。
1つのりんごをいかに早く取るか、時間を競うものと、時間内にどれだけたくさん取れるか、数を競うものとがあります。
大人のハロウィンの過ごし方5選
日本の中のハロウィン事情は、10月がちょうどお中元とお歳暮の中間、お盆とクリスマス・お正月の中間ということもあり、商業ベースでイベント化されてきたところも多くあります。
このため、お祭り騒ぎのようなにぎやかなイベントが多くなっていますが、50代のハロウィンは少し趣向を替えて、ヨーロッパに伝わる本来の意味も取り入れながら、大人の過ごし方をしてみませんか?
リース飾り・フラワーアレンジメント
ちょっぴりご先祖さまのお帰りを意識して、玄関にハロウィン飾りを置いてみるだけでも雰囲気を味わえます。
ジャック・オ・ランタンのような大きなオブジェでなくても、かぼちゃ色や紫色のリース飾りや小さなフラワーアレンジメントなどでもOK。ちょっと玄関に飾るとおしゃれです。
ネイルアート
50代ともなると、全身で仮装したりメイクしたりするのは勇気がいりますが、ネイルくらいなら、さり気なくトレンドを出せるのでおすすめです。
普段あまり使わない濃いめの色やゴースト風の絵柄をポイントとして入れると、大人の粋を感じさせる指先になります。
最近は簡単に貼れるシールタイプもありますから、期間限定でのチャレンジもできますよ。
食事・お茶会
パーティまで大げさでなくていいので、親しい友人や家族とお茶会をするのもいいですね。いつもの食事会を、ハロウィンを意識したテーブル飾りにするだけでも雰囲気が出ます。
定番アイテムのかぼちゃやりんご、お菓子をお忘れなく。
お墓参り
ハロウィン期間に行われる本来の行事として、お墓参りを取り入れてみるのも、大人の過ごし方です。
お盆や年末のころより過ごしやすい気候ですし、お墓参りのラッシュもありませんから、ゆっくりと手入れしたり、故人に話しかけたりするのにはちょうどよい季節です。菊も手に入りやすいので、おすすめです。
ちなみに、ヨーロッパ、特にフランスは、日本と同じように菊をお墓参り用の花として重用しています。日本らしい花だからと菊をプレゼントすると嫌がる人もいるようです。ご注意くださいね。
映画
ハロウィンの夜は、騒がしい仮装パーティより、親しい人や家族と映画を観て過ごすのもおすすめです。
『ゴーストバスターズ』『アダムス・ファミリー』『キャスパー』『ホーンテッド・マンション』などの定番ものや、少し前に公開された『リメンバー・ミー』など、コメディタッチのホラーや、『ハリーポッター』のようなファンタジーものなどが、みんなで楽しめてよさそうですね。
まとめ
日本でハロウィンというと、若者が騒ぐイベントのように思えますが、本来は、死者を悼む伝統的なヨーロッパの行事です。
50代のハロウィンは、大人の余裕でヨーロッパの雰囲気も味わいながら、ワンランク上質な楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか。